なぜ高齢者の帰宅願望、不穏がおきるのか?

介護現場のおはなし

こんにちは。介護福祉士のケイです。
介護施設に入居した高齢者が、「帰りたい」と訴えたり、落ち着きがなくなり暴れたりすることがあります。
こうした帰宅願望と不穏は、高齢者にとって大きなストレスとなり、介護現場でも悩みの種です。
今日はなぜ帰宅願望、不穏がおきるのかについて記事にしました。

なぜ帰宅願望や不穏が起こるのか?

帰宅願望がおきる背景には、いくつかの医学的根拠が考えられます。

1. 認知症の影響
認知症になると、時間や場所の認識が難しくなり、自分がどこにいるのか分からなくなることがあります。そのため、自宅が安全な場所だと記憶しているため、「帰りたい」と訴えるのです。

2. 環境の変化へのストレス
長年住み慣れた家から介護施設に移ることは、高齢者にとって大きな環境変化です。新しい環境に慣れず、不安やストレスを感じやすくなります。

3. 感覚機能の低下
視力や聴力などの感覚機能が低下すると、周囲の情報がうまく得られず、不安や焦りを感じやすくなります。

4. 身体的制限
身体機能が低下すると、自由に動き回ることができなくなり、ストレスを感じやすくなります。

5. 夕暮れ症候群
夕方になると、不安や興奮が高まる症状です。日中の活動量が減ったり、日没による光量の減少などが影響すると考えられます。

6. 心理的な要因
喪失感: 家族や友人との別れ、住み慣れた家からの転居など、多くの喪失体験を経験する高齢者は、深い喪失感を感じ、それが帰宅願望や不穏につながります。
無力感: 身体機能の低下や認知症の進行により、日常生活において多くの制限を受けると、無力感や自己否定感を抱きやすくなります。
孤独感: 施設入所によって、家族や友人との交流が減り、孤独を感じやすくなります。
不安感: 新しい環境への不安や、将来への不安などが、帰宅願望や不穏につながります。

帰宅願望や不穏への対応

帰宅願望や不穏への対応には、以下の方法が有効です。
・本人の気持ちに共感し、話を聞いてあげる
・時間や場所を丁寧に説明する
・施設内の環境に慣れるまで、ゆっくりと時間をかける
・本人の好きな活動を取り入れる
・必要に応じて、薬物療法や光療法などの専門的な治療を行う

より具体的な対応例としては・・・

帰宅願望への対応
本人の気持ちに共感し、「帰りたい」という気持ちを受け止める
過去の写真や思い出の品を見せて、気分を落ち着かせる
散歩やレクリエーションなど、気分転換できる活動を取り入れる
一緒に自宅の写真やビデオを見ながら、思い出を語り合う

不穏への対応
本人の不安や怒りの原因を探り、適切な対応をする
落ち着ける環境を整える
音楽療法やアロマテラピーなどのリラクゼーションを取り入れる
必要に応じて、医師や精神科医に相談し、薬物療法や光療法などの専門的な治療を行う

まとめ


高齢者の帰宅願望や不穏は、単なるわがままや問題行動ではありません。

背景には、さまざまな医学的根拠と心理的な要因があります。

介護士は、これらの根拠と要因を理解し、高齢者一人ひとりの気持ちに寄り添いながら、適切な対応をすることが大切です。

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