褥瘡ケアを怠ったことにより裁判に発展。慰謝料等6,747万円の支払いに。

介護現場のおはなし

こんにちは。介護福祉士のケイです。

私のブログを読んでくれている方々は、高齢者福祉に関わる、介護士やケアマネ、相談員の方が多いと思います。

高齢者福祉の中で、絶対に避けてはとおれない、利用者さんのケアがあります。

それが褥瘡を発生させない、悪化させない、ケアです。

介護度が高い利用者さん、介護度4,5の利用者さんだと、寝たきりの方や、体脂肪が少なくてすぐに褥瘡になってしまう方がいらっしゃると思います。

そういう方々をケアする介護士にとって、褥瘡対策は絶対に避けてはとおれないと思います。

褥瘡ケアを怠ることによって、利用者さんに褥瘡ができてしまったり、褥瘡が原因で敗血症になってしまい、最悪の場合亡くなってしまうということもおこりえます。

そうなった場合、家族側と裁判となってしまうのです。過去に褥瘡ケアをめぐって、裁判となったケースもあります。

本日は、褥瘡ケアをめぐっての過去の裁判例を見ていきましょう。

そして、介護士として気をつけないといけないポイントはどこなのか?考えていきましょう。

介護施設は褥瘡を防止する義務がある

褥瘡は、介護士のケアによって悪化を防ぐことが出来ます。

時間を決めての体位変換、クッションを用いての除圧、皮膚の保護など、褥瘡対策にはさまざまなものがあります。

一方で、軽度の褥瘡を完全に予防することは、介護の現場ではむずかしいといえます。そのため、すべての褥瘡を現場の介護士のケア不足といえるかというと、そうではありません。

褥瘡の原因は、身体の一定の箇所が長時間圧迫していることにあります。

圧迫状態を続けることにより、皮膚への血流が乏しくなる結果、皮膚の一部が壊死してしまいます。


特に、介護度4,5で寝たきり状態の人や高齢の方などではベッドの上で寝返りを打つことができないこともあり、褥瘡が悪化してしまう傾向にあるといえます。

褥瘡は、初期であれば皮膚が薄くなったり、水ぶくれが出来たりする程度ではありますが、皮膚が壊死すると周りが炎症して感染を起こすこともあります。

感染することにより、高熱が出ることもあり、最悪の場合だと死亡することもあります。

介護施設には、介護利用者との間で、施設利用契約を締結する上で利用者の安全に配慮する義務を負います。

そのため、介護施設は褥瘡についても予防する義務を負っていることになります。

寝たきりになっている利用者については、利用者の皮膚の状態を確認する、身体の位置を変えるなどの対応が介護施設に求められるといえるでしょう。

過去には褥瘡をめぐって裁判も起きている

横浜地裁平成24年3月23日では、介護施設側が褥瘡の予防および適切な治療を行ったかどうかが争われました。

利用者Aは横浜市内の病院で入院をしており、退院時に仙骨部に直径3センチの褥瘡を生じさせていました。

病院から退院後、今回の事件がおきた介護施設に入所することになりましたが、入所後、Aの褥瘡部分に細菌が侵入し、敗血症の状態になった結果、亡くなってしまいました。

入院していた病院から施設に対してAの褥瘡についての情報は提供されていたとのことです。

この裁判例では、Aの褥瘡悪化に関する施設側の債務不履行、注意義務違反の有無が特に争われました。

施設側がAの褥瘡に対し、適切な処置を行っていなかったという判断をしたのです。

裁判所は、Aが施設に入所した当時87歳と高齢であること、一日のほとんどをベッドに寝た状態で過ごしていたこと、糖尿病に罹患していたため血流が阻害されやすい状態であったこと等から、Aには褥瘡が生じやすかったと認定しました。

そして、施設が病院からそのような診療情報を提供されていることも踏まえると、施設は2時間ごとにAの体位変換を行い、褥瘡の患部を清潔に保持しておく義務があったと認定しました。

さらに、褥瘡が拡大・悪化しはじめた後は、従前の管理では足りず、より積極的な治療等をする注意義務があると判断しました。

裁判所は、施設がAに対する適切な義務を果たしたとはいえないとして、施設に注意義務違反があると認定し、慰謝料等6,747万円の支払いを命じた結果となりました。

介護士ができる対策はどのようなものがあるのか

この事件の判決のポイントは次のとおりです。

病院側が退院時に介護施設に利用者Aの褥瘡の状態について、ちゃんと情報提供を行っていたにも関わらず、介護施設側がAの褥瘡のケアを行わなかった。

ということにあります。

介護士が現場で行えることとしては、日ごろから利用者さんの皮膚の状態を、発赤がないか、皮めくれがないか、褥瘡が悪化していないか、観察することが大切です。

状態が悪化してしまったのを発見したら、介護士のリーダーや、看護師に報告し、さらに悪化させるのを防止する必要があります。

褥瘡が発生してしまった場合はクッションを使用しての除圧、体位変換、軟膏類の塗布、褥瘡箇所の保清ケアなど、褥瘡ケアを確実に行っていくことで、褥瘡の早期回復や、裁判となった場合の身を守るための行動がとれると思います。

褥瘡は施設をあげて取り組まないといけない、重大な介護上の問題です。しっかりと取り組んでいきましょう。

引用参考:アトム法律事務所ホームページ

ほかにも介護現場で訴訟が!!

ほかにも介護現場で、死亡事故や訴訟まで発展したケースがいろいろとあります。

現場で働く介護士は知っておくべき事案ばかりですね。

どのようなトラブルが訴訟に発展するのか??見ておきましょう!!

コメント

タイトルとURLをコピーしました