こんにちは。
介護福祉士のケイです。
先日、こちらのツイートをしたところ、多くの反響を頂きました。
ツイートの内容としては、とあるネット記事の紹介です。
低賃金のうえ、移動や待機時間は無給等の労働条件は不当で介護保険制度に不備があるとして、2019年11月に3人の女性ヘルパーが起こした国家賠償訴訟が継続中であるというものです。
こちらのネット記事を見ていきたいと思います。
元の記事はこちらから
元の記事は婦人公論.jpに掲載されています。
以下、記事の引用です。
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介護が必要な高齢者の暮らしを支えるホームヘルパー(正式名称・訪問介護員)。生活支援や身体介護を担う重要な職業にもかかわらず、人手が足りずに、現場に深刻なしわ寄せが来ている。
これを国の責任とし、国家賠償請求訴訟を起こした3人の現役ヘルパーがいる。東京都の藤原るかさん(67歳)、伊藤みどりさん(70歳)と、福島県の佐藤昌子さん(67歳)だ。
「ヘルパーの待遇がこのまま変わらず、人員不足が続けば、在宅介護そのものが成り立たなくなるかもしれません」と、訴訟を提起した藤原さんは懸念する。人が集まらない原因の筆頭は、賃金待遇だ。
「現在、ヘルパーの約7割が非正規雇用の登録型ヘルパーです。ほとんどのヘルパーが現場へ直行直帰の『出来高払い』という働き方ですが、多くの事業所では、その『移動』と『待機時間』と『キャンセル』にまともな賃金が出ないのです。出ても数十円の手当程度。拘束時間で考えると最低賃金を割り込んでしまいます」
1時間に満たない細切れの時間で働く訪問介護は、利用者の家から家へと移動する時間が必要だ。藤原さん自身、移動だけで年間30万円のタダ働きをしている計算になるという。
正規雇用のヘルパーでも平均月給(支給額)は約23万5000円。藤原さんによると登録型ヘルパーは8万円弱で、これでは生活もままならない。2022年にはコロナ禍と物価高に加え、人手不足で介護現場が逼迫。中小施設や訪問介護事業所を中心に、倒産や休廃業は2000年に介護保険制度が始まって以来最多の638件となった。
「現在、ヘルパーの有効求人倍率は約15倍(2020年)。なり手が全然見つかりません。国はヘルパー不足を、ヘルパーを雇用している事業者のせいだとして責任逃れしています。でも今の介護報酬では、多くの事業者には、それを払うだけの体力がない。
移動やキャンセルといった付加的な労働時間に賃金が支払われないという、労働基準法も守られない原因は、介護保険のシステム自体にあるからこそ、国を相手取って裁判を起こしたのです」と藤原さん。
では、なぜこのようなことになってしまったのだろうか。
遡ると、日本のホームヘルパー制度は、1950年代に長野県上田市で始まったと言われている。
「生活困窮に陥っている母子世帯や独居高齢者に対し、家事支援をする地域の助け合い活動が生まれました。それが長野県の独自施策となり、各地に同様の取り組みが波及。そして1963年に老人福祉法が成立したとき、家庭奉仕員という名前で『家事援助』と『相談支援』を柱にしたヘルパー制度が始まり、全国に拡大していったのです」と解説するのは、東洋大学福祉社会デザイン学部教授の高野龍昭さんだ。
かつては市区町村役場にヘルパーが所属する時代もあり、公務員として待遇は悪くなかった。
「ただ一見、誰にでもできる仕事に見えるだけに、ヘルパー自体の社会的評価は決して高くありませんでした。それに公務員はともかく、社会福祉法人などで訪問介護の仕事をしている人に対しては、昔から十分な予算が充てられたわけではありません」と高野さん。
1990年の老人福祉法改正で、家庭奉仕員の名称は訪問介護員(通称・ホームヘルパー)に変わり、身体介護も業務に加えられた。90年代半ばから介護保険制度導入への機運が高まり、97年に介護保険法が制定。2000年から運用が始まった。折しも90年代の規制緩和の波を受け、あらゆる分野で民営化が進められた時代だった。
「福祉分野でも、それまで自治体職員が中心だったホームヘルパーを、民間法人に積極的に委託することになりました。委託先には自治体からの補助金が支払われていましたが、その費用は安く抑えられました。当時すでに人口の高齢化が問題になっていましたから、将来の財政問題に対する意識も働いたのでしょう」(高野さん)
専門性が必要な仕事であるものの、「専業主婦が空いた時間にする仕事」というイメージで安くコスト計算された歴史があり、今も改善されていないというのだ。
登録ヘルパーは孤立しがちな仕事
原告の藤原さんも、ヘルパー歴31年のうち最初の8年間は公務員として働いていた。
「年収は今の3倍でしたが、難しいケースにも対応していました。難病と精神障害が重なった複雑な症状の方を担当したり、セクシュアルハラスメント、カスタマーハラスメントに山ほど遭ったり。困難なケースは民間ヘルパーさんのところに行かないよう公務員が受け持っていたんです。
ただ研修は受けられたし、常に保健婦(当時)や医師をはじめ、自治体のケースワーカーのサポートも受けられた。公的なチームで仕事をする安心感は大きかったです」と藤原さん。
一方、民営化後の登録型ヘルパーは、大抵のことは自分で解決しなければならないのが現状だ。
2006年に「ヘルパー同士の情報交換などによって、一人ぼっちのヘルパーをなくそう」という目的で立ち上げられた市民団体「京都ヘルパー連絡会」の事務局長、櫻庭葉子さんはこう証言する。
「非正規登録型ヘルパーでも所属事務所はありますが、基本的に1人で訪問して完結する仕事のため、孤立しがちなのが問題です。現場に直行直帰で事業所に立ち寄る機会が少ないことで、心理的な距離がある。困ったときや、自分がしていることが利用者さんにとって適切なケアなのか不安なとき、すぐに相談できる相手や機会がないのが実情です。ヘルパー同士で横のつながりも持てません。
また、ヘルパー不足の影響で、1人の利用者さんに複数の事業所のヘルパーが入る場合などは、とくに情報の共有が難しい。介護拒否が強い認知症の方のケアにはお声がけが大事なのですが、ヘルパーごとにお世話の方法が違うと、利用者さんが混乱してパニックになることも。ヘルパー同士で連携が取れないことは利用者の生活の質や、ときには生命にもかかわります」
現在、ヘルパーの仕事内容は、掃除、洗濯、衣類の整理、調理、買い物、薬の受け取りなどの「生活援助」と、排泄や食事の介助、清拭や入浴介助、体位変換などをする「身体介護」に分類される。
そして利用者の身体に触れることのない生活援助の介護報酬は、身体介護の約6割に抑えられている。この格差に対しても、現場の不満の声は大きい。
「生活援助、家事援助は生きるために絶対に必要なこと。たとえばオムツ交換は身体介護に当たりますが、そのとき汚れた下着やシーツは誰が洗うのでしょうか。水分補給の介助自体は身体介護ですが、誤嚥しないように『とろみ剤』を介護用品店で買って飲み物にとろみをつけるなど、一連のケアの行為には必ず生活援助がついてまわります。身体介護だけで生活できる人なんていません」と櫻庭さん。
たしかに、生活援助を通じてその人の健康と生命を支えることが介護保険の出発点だと考えると、「身体」と「生活援助」に分けられていること自体がおかしい。
だが現行システムでは生活援助の収益が低いため、これを敬遠して身体介護を中心に請け負う事業所もあるという。介護保険ができたときは約300人いた櫻庭さんたち連絡会のメンバーも、孤立化や低賃金で生活できないことなどを理由にどんどん人が減り、今では50人を割り込んでいる。
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以上、引用でした。
引用元の記事はこちらから
記事への反応は?
この記事を紹介したツイートには多くのリプライを頂きました。ありがとうございます。
どのような返信があったのか、ご紹介していきます。
「時代の変化だね。いい事だと思います。」
「いつも思うけどヘルパーより家政婦さんの方が給料いい気がする その差はなんなのか知りたい」
「勤務時間前後のサビ残も、辞めさせられたら訴訟おこしていくといいかもしれませんね。 証拠残しとかないといけないけど。」
「これでは「なり手」いないですね」
「日本全国の介護士さん、厚労省に訴訟起こしましょう!賛成です。 高齢者に噛まれたら警察へ被害届もお願いします。高齢者に噛まれたり殴られたりします。泣き寝入りの時代は終わりにしよう。介護報酬に危険手当10万円以上も必要です。 厚労省を動かすには一致団結。」
「高齢者と障害の訪問(+重訪)やっていた時期あったけれど、移動時間が無給なのはやってられるかと思ったわ。無理くり詰め込んで、10kmの移動5分とかで組むし。」
「介護職≒低賃金 が良しとされる世の中 これでいいの? 介護業界が成り立たなくなるよ。」
多くの方々が、介護士の待遇の悪さを改めてほしいとお考えのようですね。
そりゃそうですよね。
介護士は仕事の大変さの割に給料が見合っていませんからね。
待遇を良くしないと、介護士は定着しないと思います。
せっかく介護業界に入ってきても、すぐに介護業界から去って行ってしまいます。
介護士の待遇改善は、今後の日本の高齢福祉を支えるためには必須となっていきます。
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