【介護事故】食事介助で誤嚥事故!家族から訴えられることもある?【裁判】

介護現場のおはなし

こんにちは。介護福祉士のケイです。
先日、とあるツイートを見つけました。
『食事介助で誤嚥した場合、家族側が慰謝料請求できるか?』ということです。
ツイートはこちらです。

このtweetであるように、あたかも過払い金請求で払いすぎたお金が戻ってくる!!みたいなノリで介護事業所を訴えるなんていう記事には、腹が立ちますよね。

そりゃあ、誤嚥が原因で肺炎(誤嚥性肺炎)になってしまったり、入院したとなった場合に介護事業所や、食事介助を行っていた介護士に原因があるのはわかります。

でも、だからといって、なんでもかんでも気軽に訴える、訴訟をおこすというのは違うと思います。

そんな世の中になったら、高齢者の世話をする人がいなくなると思います。

今日は、このような誤嚥事故による訴訟について考えてみたいと思います。

現在介護の現場で働いている介護士の方々には、食事介助には訴訟のリスクが存在しているんだということを知って頂けたらと思います。

食事介助で起こりうる事故とは?

高齢者の食事介助で起こりやすい事故として、誤嚥や誤飲があります。

誤嚥とは、食べ物や唾液を飲み込む際に、本来は食道に入っていくところ、誤って気管に入ってしまうことをいいます。
この誤嚥によって、窒息や肺炎を引き起こす可能性があります。

高齢者は飲み込む力である、嚥下力が低下していることに加え、認知症によって食べ物を認識出来ずに喉に詰まらせる場合もあり、さまざまな可能性について考えた上で食事を提供する必要があります。

嚥下力が低下した高齢者に食事を提供する際、誤嚥の可能性があるとわかっていても、事故は起こってしまうことがあります。誤嚥事故ではどのような原因が考えられるのでしょうか。

飲み込みにくい食材や提供方法に問題があった
普段何気なく口にしている食べ物の中には、それ自体が飲み込みにくいようなものも多いです。私たちが普段、何気なく飲んでいる飲み物であっても、高齢者にとっては嚥下力が低下しているため、飲みにくいこともあります。

飲み物がサラサラすぎて喉元を簡単に通過してしまうと、嚥下力が低下した高齢者の身体では反応することができず、食道ではなく、気管に流れていってしまい、誤嚥をおこすことがあります。

そのため、嚥下力が低下した高齢者に飲み物を提供する際には、とろみ剤などを飲み物にまぜて、粘度を高めることによって、誤嚥がおこるリスクを軽減することができます。

お正月に高齢者がお餅を詰まらせるニュースはよく耳にすると思いますが、お餅以外にも飲み込みにくい食材はたくさんあります。

たとえば、弾力のあるタコ・イカ・こんにゃく・もち、パサパサして水分の少ないパン・イモ類・ゆで卵などがあげられます。

また、海苔も喉に張り付いて飲み込むことが困難になってしまうというケースもあります。

嚥下能力にあわせて、このような食材を使わない献立を立てたり、飲み込みやすい工夫をとるなどの提供方法が介護施設側には求められています。

高齢者が食べ物をたくさん詰め込み過ぎていないか、口の中に食べ物が残っていないか、飲み込めているか一口ずつ確認するなどの配慮が求められます。

食事をとっている横で、介護士が高齢者が安全に食事をとれているか確認することを、見守りといいます。

この見守りが不十分だと、高齢者が喉につまらせたり、誤嚥をおこしたことに気がつかず、対応が遅れてしまうということもあります。

もし万が一、誤嚥が起きたら、口の中の食べ物を取り出す、背中をたたいて食べ物を吐き出させる、救急車を呼ぶなどの対応が求められます。

高齢者の異変に即座に気がつき、早急に対応することにより、高齢者の命を救うことができます。

食事介助の際に、漫然とフロアを見ていることはありませんか?高齢者の食事は常に危険と隣り合わせなのです。このことを充分に理解して、食事介助にあたりましょう。

誤嚥事故で訴えられることはありうるの?

では、もし仮に食事介助中に嚥下事故が起きてしまった場合、利用者の家族から訴えられるということがあります。

誤嚥事故は窒息死や低酸素脳症、植物状態などにつながる恐れがあり、訴えられる慰謝料は高額になる可能性も否定できません。

介護事故による慰謝料には、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3種類があります。

入通院慰謝料は、誤嚥事故によって入院・通院をすることになった場合の慰謝料であり、治療期間が長期化するほど高額になる傾向にあるようです。

慰謝料は精神的苦痛を緩和するために支払われる金銭なので、その苦痛が大きいほど金額は上がる傾向にあるようです。

後遺障害慰謝料は、誤嚥事故による後遺症の症状や部位に応じて請求されます。具体的な金額は、労働者災害補償保険法施行規則で定められている「障害等級表」を参考に算定します。

死亡慰謝料は、誤嚥事故によって亡くなられたご本人の苦痛に対して支払われる金銭になります。遺族に対する慰謝料も加味して最終的な金額が決まります。

Twitterでの他の方の反応は?

それでは、今回の嚥下事故による訴訟をおこされるということについて、Twitterでの反応をご紹介します。

このtweetにリプライを残された方の多くは介護士などの福祉事業関係者や、看護師などの医療関係者のようです。

皆さん今回のこの嚥下事故での訴訟記事についてうんざりされているようです。

そりゃそうですよね。もちろん、介護事業所側に非が100%ないということはありません。

しかし、だからといって、なんでもかんでも訴訟をおこすということになってしまっては、介護事業所を運営することができなくなってしまいます。

食事介助中ではなく、自分の唾で誤嚥をおこすということもありえますからね。そういうった場合はどうするんでしょうか。

誤嚥事故で訴訟を起こされないようにするためには?

では、誤嚥事故で訴訟をおこされないようにするためには、どうすればいいのか、考えていきましょう。

まずは第一に、利用者にあった食事形態のものを提供することですよね。

嚥下機能が低下した利用者に常食や刻み食を提供すると、誤嚥するおそれがあります。

嚥下状態をしっかりと評価して、極刻み食やソフト食、ゼリー食への変更も検討していくことが大事ですね。

飲み物には、とろみ剤を使用したりして、飲み込みやすくすることが大事です。

食事の時の姿勢も重要です。身体しっかりと起こし、斜めになっていないことを確認してから食事介助を行いましょう。

身体が斜めになったり、傾いていると、正しく飲み込むことができず、誤嚥を起こす可能性もあります。

もし万が一、誤嚥してしまい、むせこんでいるようならば、背中を叩いたり、さすったりして、吐き出してもらうように介助しましょう。

体力が低下した高齢者では、一人ではなかなかはきだせないこともあります。

背中を強くたたいたり、後ろから抱え込み胸を上へ突き上げるような介助をおこない、食べたものをはきだしてもらいましょう。

また、誤嚥とはいえ、全てが利用者の状態にあらわれるわけではありません。

不顕性誤嚥といって、表面上はなにも異常がないように思われているけど、誤嚥しているということもあります。

不顕性誤嚥では、普段食事の際に咳をしていない利用者がいきなり高熱を出したりします。そういうバイタルサインの変化にも必ず気がつけるように、日ごろから利用者の体調変化を見逃さないようにしましょう。

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