こんにちは。介護福祉士のケイです。
「処遇改善加算はよく聞くけど、実際よくわからない」
「処遇改善加算についてのニュースがやっていたけど、実際に介護士に影響があるの?」
「これから転職をしようと思っているけど、処遇改善加算はどう関係があるの?」
と悩んでいる介護職員の方はいませんか?
私も処遇改善加算については、よく聞くものの、実際にはどのようなものなのかわかっていませんでした。
そこでこの記事では、
・処遇改善加算について簡単に解説
・現状とこれからの課題
・これから介護職員の給料が上がる見込み
について記事にしていこうと思います。
処遇改善加算とは介護職員の待遇向上を目的とした制度
処遇改善加算は、介護職員の待遇向上と人材不足の解決を目指して導入された財政支援の制度です。この制度により、介護事業所は職員の給与を引き上げ、働きやすい環境を整えるための重要な役割を担っています。
具体的には、キャリアパスの整備や職場環境の改善など、定められた条件をクリアすることで事業所が加算を受け取ることができます。
最近では、介護職員の離職率の高さや人材確保の難しさが問題視されているため、政府は加算制度を見直し、処遇改善加算(I~III)を統合・再編しました。新たに設けられた加算(I~IV)では加算率が引き上げられ、賃金アップの促進が図られています。
この加算率の上昇により、職員のモチベーション向上や職場への定着率の改善が期待され、介護現場全体の質向上にもつながると期待されています。
事業所の準備状況についての調査が開始
この調査は、事業所が従来の処遇改善加算から、新たな処遇改善加算I~IVへ適切に移行できるかを確認するものであり、賃金改善が計画通り進んでいるかが焦点となります。
厚労省は、事業所に対して調査への協力を呼びかけており、対応が遅れている事業所には早急な準備を求めている。加算適用の遅れは、賃金改善の遅延につながる可能性もあるからです。
経過措置は今年度がラストに!新加算への移行が急務!
今年度の制度改正で新たな処遇改善加算Ⅰ~Ⅳが導入されましたが、事業所には移行期間として猶予が与えられています。この経過措置によって、事業所は今年度内に従来の加算を維持できますが、2025年3月までに新しい加算への移行が必須となります。
新たな加算制度では、従来よりも厳しい条件が設けられており、キャリアパスの明確化や賃金改善に関する具体的な取り組みが必要です。
特に、賃金改善に関する基準を満たしていないと、加算を受けられなくなるため、事業所には早急な準備と計画的な対応が求められています。また、厚生労働省も事業所に対して、速やかに対応するよう指導を強化しています。
介護職員の離職を防ぐためには?
介護施設にとって、加算要件の達成にはさらなる負担が伴うものの、介護職員の待遇を改善するためには必要不可欠な仕組みといえます。
給与の向上は、介護職員の離職を防ぎ、定着を促進する効果があると考えられており、結果的に介護業界全体の質の向上につながる大切な施策となっています。
キャリアパスの達成が障壁に?
処遇改善を受け取るには、手間のかかるキャリアパスの達成が必要です。これは、行政ができるだけお金を出さないようにしているのが明らかで、非常に煩雑な制度です。
職員の給与のベースアップと事業所のキャリアパスは本来別の問題であるはずです。キャリアパスを達成しないと報酬が支払われない仕組みでは、書類作成が増えて労働時間が長くなるのは避けられません。
こんな無駄なシステムは廃止し、直接的に介護報酬を引き上げてほしいものです。
介護職員の給与が上がりにくいのは、介護報酬改定が原因
介護職員の給与がなかなか上がらない理由は、主に人材不足に加えて、介護報酬の改定が収益を十分に増加させていないことにあります。次回の改定でも収入や利益の減少がほぼ確実です。
また、最低賃金の上昇により、施設側は賃金を無理に引き上げざるを得ず、人件費が年々経営に重くのしかかっています。
介護は人を相手にする仕事であるため、対応できる利用者数に限界があり、売上や利益が大きく伸び続けるのは現実的ではありません。
その結果、給与が高くなることで経営が立ち行かなくなり、職員を減らすしかない施設も増加しています。
本気で賃上げを目指すのであれば、政府は新しい条件を設定し算定基準を増やすのではなく、基礎部分の報酬点数を引き上げ、条件を減らすべきです。
そして、人件費に充てた場合には法人税の減税措置を導入し、施設全体が利益を確保しやすくすることが求められます。
各事業所が上乗せで介護職員に支払っている
ニュースや報道では介護職員処遇改善手当について詳しい説明がほとんどされていないように感じます。単に「介護職員の給与が増える」といった表現で終わっているケースが多いのです。
しかし、実際のところ、この手当は事業所が受け取る介護報酬に基づいています。特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、デイケア、デイサービス、訪問介護など、それぞれのサービスごとに異なる加算率が適用され、その加算率に基づいて手当が支払われる仕組みです。
さらに、その金額を超える分については、各事業所が独自に上乗せして職員に支給しています。もしこれができない場合、加算された額は全額国に返還されてしまうのです。
また、加算率は職員の配置状況や職場環境、昇格や昇給の体制などにより段階的に異なり、それに応じて手当の支給額も変わってきます。大手の事業所であれば、しっかりとした体制で人材確保もできるかもしれませんが、中小規模の事業所ではそれが難しい現状があります。
さらに、計画書や報告書の作成の煩雑さも課題です。介護報酬そのものの引き上げが行われれば、人材確保はよりスムーズに進むのではないでしょうか。
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